「いちねんごとに・・・」



初めてあなたとあったのは・・・

病院の廊下。

私の顔を見て、びっくりしていたわね。

後から聞いたけど、火星で亡くなったサーシャさんにあまりにも似ていて驚いたんですってね。

あの後怪我をしてあなたの手当てをしながら、なんて無茶をする人なのだろうと。

それからすぐ、ヤマトに一緒に乗り込む事に・・・

あなたは戦闘の専門家として、私は生活班の専門家として。

あなたから見ればあの頃の私ってとっても危なっかしく思っていたのでしょうね。

戦艦に乗っているという自覚が足りなかったもの・・・

だからあなたに睨まれるたびに『なに?』と睨み返してしまったの。

でもね、とっても気になっていたのよ。

時々とても暗い瞳をしていたあなたを・・・

お兄さんの乗っていた駆逐艦を見つけた頃から少しずつ頑なになっていた心の扉を開けてくれるようになったのよね。

イスカンダルでお兄さんの守さんと再会してからは年相応の顔を見せてくれるようになっていたわね。

地球へ帰ってからあなたに私の思いを伝えようと思っていたのに・・・

気がついたときには貴方に抱きかかえられていたのにびっくりして・・・・・・

真っ赤な地球を見ながら耳元にそっと・・・・・・




平和になった地球で貴方と将来の約束をして、後3日で貴方と一緒に暮らせるようになるはずだったのに・・・

突然のキャンセル、一緒に乗り込みたかったのに貴方は残れと・・・

諦め切れなかった私は、隠れるように乗り込んだのよ。

勿論、佐渡先生と島君とアナライザーに協力してもらって・・・

私を見つけたときの貴方の顔ったら・・・

嬉しいような、困ったような・・・

でも、反対されながらも乗り込んでよかったのよね?

私が乗り込んだ事で一番ほっとしたのは貴方だったのよね。

辛く、厳しい戦いの中での貴方の決意。

次々に倒れてしまった仲間達を思い、一人で決着をつけようと・・・・・・

でもね、貴方が残るだろうと、こっそりと隠れていたの。

貴方がいない地球で私の幸せはなかったから・・・

だから貴方に気づかれないようにそっと隠れていたの・・・

でも、テレサのおかげで地球もヤマトも助かったけど・・・・・・



みんなの怪我が治り、訓練航海中にデスラー総統からのメッセージ。

イスカンダルに危機が迫っていると・・・

助けに行きたいけど行く事はできないと・・・

一人部屋に閉じこもり、悩んでいたわね。

長官の心遣いで助けに行く事になったときの貴方のほっとした顔。

デスラー総統と共同戦線で戦い、守さんとスターシアさんを何とか救出しようと・・・

でも、乗っていたのは・・・

守さんと小さな女の子。

スターシアさんの忘れ形見であるサーシャちゃんを守さんから預かり守さんの官舎で留守番もしたわね。




私は小さなサーシャちゃんにしか会ったことがないけど・・・

離れ離れになってしまったとき貴方は大きくなったサーシャちゃんに会ったのよね。

あの戦いで貴方は守さんとサーシャちゃんを・・・・・・

貴方と会える喜びと不安。

でも、貴方にあった瞬間、ただ嬉しくて・・・・・・

貴方の胸で思いっきり泣いてしまったわね。



太陽が異常増進したときも1年という期限付きの航海。

側にいるのに、何もできなくて・・・・・・

あまりにも繊細な貴方の心が壊れてしまうのではないかと・・・

大怪我をした後、貴方の肩の力が抜けていた事に気がついたの。

第二の地球は見つからなかったけど、シャルバート星のルダ王女から

ハイドロコスモジェン砲を譲り受けて太陽は元にもどったけれど・・・

最後の最後で大怪我をさせてしまったと・・・

                     

異常の気温も徐々に戻り始めたとき,銀河系中心での異常。

調査に出かけたヤマト。

水惑星の報告をしてきた後、行方不明。

無事地球へ帰ってきたヤマトの中で見たのは・・・

動かない貴方・・・

あの時、無意識に貴方のコスモガンを・・・

貴方の後を追うつもりだったの・・・

水惑星がワープをして地球に向かっているというのに、貴方の心はどこにいってしまっていたのかしら?

それでも、一人、ヤマトに向かった貴方。

驚く貴方達の顔。

懐かしい人との再会。

後ろから見つめていてくれる人がいるというだけで貴方はあんなにも生き生きと・・・

地球を救うためヤマトと沖田艦長を見送る貴方。

後から後からあふれる涙をぬぐおうともせず・・・

地球に降り注いだアクエリアスの水は、干上がってしまった海に湖にと形を変えて・・・

傷ついた地球を癒すように・・・



地球も落ち着きを取りもどした頃、貴方が言った言葉・・・

信じられなくて・・・

何度も繰り返し、抱きしめられ・・・

やっと信じることができたとき、涙が止まらなくなっていたの。




優しい仲間達から祝福を受け、挙げた結婚式も最後は宴会に・・・・・・

いつもの大騒ぎにと・・・

太陽を制御しようとして大怪我をした土門君も今では防衛軍へ戻って元気に働いている。

島君や南部君、相原君も自分達の幸せに向かって歩き始めようとしている。

私のおなかにも小さな命が芽生え、一緒に喜んでくれた貴方・・・

                         
ずっと一緒に歩いて行きましょう。

時には悩み、時には立ち止まりながら・・・・・・



                                   END

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     さとみさんより当サイト開設一周年へのお祝いに雪ちゃんの想いを描いた
     お話を頂きました。

     地下都市の病院の廊下で初めて会った時からの心の変化。
     さまざまな苦難と試練の果てに掴んだ幸せ・・・。
     これから二人の「いちねんごと」の人生の歩みに
     ずっと笑顔が伴いますように♪新たなる生命と共に

                 さとみさん 素敵なお話をありがとうございました♪
                       
(2005・9・5公開 同年10・25えゆう画 挿絵追加)

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