「二人きり」
明るい日が差し込むリビングのソファーに
深く腰掛けてゆっくりくつろぐ・・・。
久しぶりに彼女と僕の休暇が同じ日になったんだ。
あの結婚式からもう2ヶ月になる。
僕はすごく幸せだ。
結婚式を挙げたことで“家族”と呼べる人が増えた。
それも僕にとってすごく嬉しいことなんだ。
“家族”一緒に暮らしている訳じゃないけど
嬉しいことには変わりはない。
彼女は僕が“おかあさん”と呼べるようになった人と
夕食の材料を買いに行っている。
今日の夕食は彼女とおかあさんが腕を振るってくれるんだ。
彼女の料理、結婚してからかなり上達したし、おかあさんも
料理が上手だから今日の夕食、楽しみだな。
そして、僕の目の前にもう一人、“家族”になった人が座っている。
そう、僕たちはいま同じ部屋にいて
ソファーに向かい合って座っているんだ。
この人とこうしてティータイムを過ごすなんて
本当に久しぶりだ。
お互いずっと忙しかったからなぁ。
今日みたいに彼女の実家に遊びに来ても
会えない時の方がだんぜん多かったっけ。
それが今は二人きり・・・。
なんだか、僕、ずっと緊張してる・・・。
二人とも黙ったまま静かに紅茶を飲んでいる。
僕が入れたレモンティー、お口に合ってるかな?
それにしても今日はいい天気だなぁ。
カチャ・・・。
飲み干したティーカップを二人同時にソーサーに置く。
「どうかね、義一くん。晶子の料理は少しは上手くなったかね?」
「えっ!あ、はいっ!長官、そりゃぁ毎日頑張ってくれていますから。」
「はっはっはっはっ!そうか、それは良かった。はっはっはっはっ!」
・・・・・・彼女と結婚した時点で司令長官は一応僕の家族、
『おじいちゃん』になった訳なんだけど・・・。
やっぱり“おじいさん”とか“おじいさま”なんて呼べなくて
今も“長官”って呼ばせてもらっている・・・。
長官、明日から一週間の出張で今日は早く帰っていらしたんだ。
晶子も長官と一緒に行ってしまうけど長官秘書だから仕方ない。
僕、明日から寂しいな。
それより早く“おじいさん”って呼べるようにならなきゃいけないな・・・よしっ!
「あ・・・のぉ、ち・・・長官、紅茶のおかわりはいかがですか?」
「いや、もう結構だ、ありがとう。」
はあぁ〜・・・。ダメだなぁ〜〜〜僕・・・。
紅茶、不味かったのかなぁ〜?
古代さんに教わったとおりにいれたんだけど・・・。
晶子ぉ〜〜〜っ!!早く買い物から帰って来てくれよ〜〜〜っ!!
E N D ♪
(2003・9・27初出)
2004・8・30
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