「チョコレート」
<<1>>
・・・・・・あぁん・・・もうっ!
レシピとおりに作ったのに
こ〜〜〜〜〜〜んなに固いチョコになっちゃった・・・。
・・・・・・どうしよう・・・・。
何か間違えたのかしら・・・????
せっかく、せっかく古代君に食べてもらおうと頑張ったのに〜〜〜☆
おかしいな?本当はとっても柔らかい出来上がりのはずなのに・・・。
今日<バレンタイン>に古代に心を込めてチョコをプレゼントしようと
昨日から頑張って作っていたチョコがまるで筋金入りのような
固い出来上がりになっていて唖然呆然の雪。
「形だって綺麗に整えてきちんと12個の1ダースにしたのに〜!」
どうしよう!どうしよう!!!
「まぁ、雪!あなた早くしないともう時間じゃないの?」
チョコを見つめたまま悩みまくる雪の後ろからいきなり聞こえたママの声。
「え??あっ!!もうこんな時間!!」
時計を見ると古代とのデートの約束時間がせまっているっ!
「やだぁ!作り直す時間がなくなっちゃった!!」
仕方ないわっ!!
「ママっ!後片付けお願いねっ!!」
「まっ!!雪ったら!」
「ママ、ゴメンなさいっ!」
雪は出来上がったチョコを箱に詰めてリボンをかけ、
慌しく着替えると古代が待ついつもの公園へ急いだ!
<<2>>
「へぇ〜♪このチョコ、雪が作ったんだ!」
「え・・・えぇ、一応・・・。」
雪から受け取ったチョコの箱を開けた古代はとってもとっても嬉しそうな顔で
中の一つを取り出してじっくりと眺めてくれちゃったりして。
「食ってもいいんだよな?」
「ええ・・・あ・・・でもそれとっても・・・・固くて・・・。」
と、雪が言い終える前にベンチの隣に座る古代が
ばきっ!ぼりっ!がりがりんっ! っと
これまた気持ちがいいほどの豪快な音を立ててチョコを食べ始めた。
「あ・・・こ・・・だいくん・・・それ・・・」
「ん♪うまいっ!雪、ありがと!これすっげぇうまいよ!」
「・・・ほんと?」
不安げに古代の顔を覗き込む雪が、本当はそのチョコはとっても柔らかい
チョコだと告げると
「へぇ、そうなんだ!俺、こういうチョコってもらったことないから
こんなモンなんだって思ったぜ!」と気に留める様子も無く
結局ばきぼきばりぼりがりごりと小気味いい音を立てながら12個全部をきれいに食べてしまった。
「うまかった♪」
「・・・ありがと・・・古代君・・・。」
「ん?」
「食べてくれて・・・。」
しゅんとうつむく雪の肩に手を回して自分の方へ引き寄せる古代が
そっと彼女の耳元にささやく。
「来年はその“柔らかい”チョコを期待してるぜ!」
「うん!♪」
とたんに明るい笑顔に戻る雪
抱き寄せられたままそっと古代のほっぺに・・・♪
「古代君!大好き♪!」
「俺も!」
イスカンダルから帰ってきて初めてのバレンタイン♪
雪ちゃんの心いっぱいのチョコは無事に古代君のお腹に納まりましたとさ♪
めでたし♪めでたし♪
☆翌日・地球防衛軍内にて☆
真田:「おい、島。」
島:「やぁ、真田さん、どうかしたんですか?」
真田:「いや、古代のことなんだが。」
島:「あいつがどうかしましたか?」
真田:「雪とケンカでもしたのか?今朝あいつに声を掛けても
会釈だけで返事もしなくてな。不機嫌そうだし
いつもと違うんで、もしやケンカでもと思ったんだが。」
島:「あぁ、それは俺も気になってあいつに訊いたら
『アゴが筋肉痛だからあんまり話しかけるな!』ってやっとこさ
言ってましたよ?なにしたんだろう、あいつ??」
真田:「なに?アゴが筋肉痛だと??」
島:「うーん、どうもケンカじゃないみたいですがね。
今朝の雪はすっごくニコニコしてましたし。」
真田:「?????」
(2006・2・14公開)
♪おしまい♪
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