「Blue sky, fly high」

4.

最後の最後に一つ、どたばたとして。
 結果的に医務室送りになった奴は、幾らか居たが。
それでも一応…誰も死なずに終わった事は、不幸中の幸い。

 現在(いま)は映像と記憶にしか失い、蒼く輝く地球こそ、故郷。
赤く病み付いた姿なんて、一時のもの。だからこそ…見たくも無い。
 いつも、ずっとそう思っていた。だけど…降参だ。
 色も、何も全く関係無い。地球が「地球である」…というその事だけが、全て。
 傷付いた赤い色さえ…この際、こんなに懐かしく。

  ◇  ◇  ◇  ◇

 俺たちは、俺たちの空を取り返した。
 1年という時間を掛けて、血も流しながら…この手で。

  ◇  ◇  ◇  ◇

「俺は、1人で飛ぶ…って言っただろうがっ!ついて来るなーっ!!」
「良いじゃん、減るもんじゃなし」
 地上に建設が始まって、だが…まだ住人は見えず。
高くも低くも、好きに飛べる…これがきっと、最後のチャンス。
 非戦闘時故に武装無いのが、腹立たしい。
 攻撃できるものなら…このちょろちょろと邪魔な奴を速攻、叩き落してやるのに。
「地球(ここ)に戻ってきてまで、お前の面倒を見る気は無い…っと言ったっ!」
「え〜?ひでぇな、おい」

 帰還(もど)ってきた地球(ここ)だけじゃなく、
まさか…月にまで面倒見なきゃならないとは、これほども思わなかった頃。


                                  完



                                          
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